とにかく山へ行ってみよう
さて、今日はどうしたものか・・。
いろいろごちゃごちゃやることもあり、考えてることもあり、もやもやと時間だけが過ぎていくのがイヤで、まあとりあえず車に飛び乗り山へと行って見ました。
山は先週とは打って変わって、ごくごく薄っすらと冬をまとい始めていました。
冷たい風と白く化粧をした山肌をみていると、ようやく今が12月であることを思い起こさせてくれます。
それほどまでに、最近の冬は暖かくなってしまったのでしょう。
わたしが子供の頃は、気のせいか、もっともっと寒かったと思います。
そして全体的に冬の色はきわめて灰色だった気がします。
一年中半ズボンで通したツワモノは、寒さに太股を真っ赤にして誇らしげでしたが、今の冬ではそんなこと普通にできてしまいそうな気すらします。
靴を長靴に履き替えて、サクッと落ち葉と降り積った雪を踏んで気がつきました。
ずっと雪だと思っていたのは、実は雪ではなく、どうやら雹(ひょう)のようです。
小さい氷の粒が、解けずに雪のように冬を演出していました。
とりあえず木をを見て回ります。
部分枯れにルリの痕跡を探しますが、それらしい糞は見掛けるものの、肝心のマークは一向に見付かりませんでした。
今回訪れたのは、コルリの既知ポイントと既知ポイントを結ぶ稜線に位置する山ですが、どうしてもこの山ではルリもコルリも痕跡を残していないのです。
何が気に入らないのか、標高は充分だし、植性もミズナラからなる広葉樹林ですので申し分ありません。
日なたは避けたにしても、日陰の斜面にすら見当たらないのです。
まったく不思議なものです。
沢沿いに歩いていると、獣のぬた場を見つけました。
まだ最近まで使っていたようです。
ぬた場とは、要するに獣のお風呂みたいなものです。
毛に付いたダニを落としたり、アブやハエなどの虫よけに泥浴びをする場所のことです。
ここは何のぬた場なのでしょう。シカかイノシシか・・。
よくよく辺りを見渡すと、そこかしこに獣の痕跡を見ることができます。
クマの縄張りを示すマーキング、シカの噛み跡、何者かがカラダをこすり付けて毛だらけになった木など様々です。
今回わたしが立っているのは、どうやらクマの縄張りのようです。
右も左も、上も下も、大きな木には無数の爪あとが刻まれていました。
見下ろしたところに一際大きなミズナラがあり、そこの根元に大きな洞が見えています。
近付くな!っというオーラをひしひしと感じます。
えらく獣臭さも感じます。
今年はドングリが豊作なようで、食べ物には困ってないでしょうが、深入りは危険です。
冬眠しているのなら、写真を一枚パチリと行きたいところですが、なんだか急にたくさんの視線を感じるようになりましたので、この辺りで今日は帰るとしましょう。
車にもどり、荷物を積み込んでデジカメのオンにしてゆっくり振り返ると、監視役のケモノがこちらを見てみぬ振りをしていました。
わたしも見てみぬ振りをしながら、デジカメでパチリ。
お邪魔しましたと言って、その場を離れました。
帰りの道すがら、満開に咲く花を発見。
車を止めて近づいてみると、なんとそれは桜でした。
と言っても狂い咲きの桜じゃありませんよ。
フユザクラと言って、この時期に咲く桜なんです。
穏やかな天気のせいか、なんだか一足先に春を感じた様で、ちょっと得をした気分でした。