つづきです・・
さて、いろいろとモミを見て回っていて気付いたことがあります。
所々にフィールドサインがあります。
この場合、アニマルサインと言った方がわかり易いですかね。
はじめに見付けた獣糞で気付くべきでした。
私たちは既にクマさんの縄張りに入ってしまったようです。
ちなみにこれがクマさんのフィールドサインです。
シカさんもこの様なフィールドサインを残しますが、シカさんは前歯で樹皮をコソギ取るので、必ず2本の筋が出来ます。
この様に爪でガリガリやった後で、背中をゴリゴリ掻いたりするので、時には毛が挟まってたりもします。
まだ雪もかなり残っていて空気が澄んでいるせいか、ケモノ臭さは感じませんでした。
これが夏場なら、間違いなくこの辺りはケモノ臭さで充満していたことでしょう。
何本ものモミを見て回りましたが、悉くサインをしています。
冬眠から覚めて、まず縄張りのマーキングをしたのでしょう。
次に大きな爪あとがハッキリ残されているモミを発見しました。
私の手のひらを見比べてください。
相当デカイことが分かりますね。
オオトラカミキリのフィールドサインも見付けました。
動画に収めましたが、今更なんですので機会がありましたらUPします。
息子にこの事実を告げて、充分に辺りに注意を払う様に指示しました。
1.仮にクマさんを見付けても大声を上げない。
2. いきなり走らない。
3.後ろ向きで逃げない。
『いる』ことを前提に行動すれば、慌てることはありません。
彼か彼女か分かりませんが、確実に近くにいます。
そして、運が悪いことにクマさんはお腹を空かせている筈です。
その証拠は糞です。冬眠明けのクマさんは先ずうんちをするそうです。
基本的にツキノワグマは木の実や木の芽を主食にしていますが、食料に乏しい季節はシカさんの死体などの肉も食べるようです。
充分に注意する必要があります。
ゆっくりゆっくり・・このエリアから離れていきます。
しかし、不運にもクマさんと遭遇してしまいました。
私はゆっくりと・・ゆっくりとデジカメに手をかけます・・。
いや!ダメです。今日は息子も一緒なんです。
思わず『おいしいネタ発見!』と思ってしまいました;;
距離にしてどれくらい離れていたでしょうか。
おそらく50mくらいは離れていたのでしょうが、現場ではそれが10mにも満たない至近距離に感じました。
私は、辺りをキョロキョロしながらついてくる息子を止めました。
『おい、とまれ・・。あそこを見てみろ。』
『え、どこ?なに?』
『木の上だ。目の前のモミの上を見ろ・・。』
『あ・・、なにあの黒いふさふさは・・。ってクマじゃん!』
ハッキリ言って危なかったです。
私が進んでいた方向のモミの樹上に、クマさんがしがみついていました。
気がつかなければ、間違いなくモミの下まで行っていたでしょう。
私が先にクマさんに気付いたのか、クマさんが先に私たちに気付いて樹上に逃げたのか分かりませんが、ここは一つセオリー通りに、ゆっくりとバックしながら距離を離していきます。
もちろん、辺りにも気を配ります。
100mくらいは離れたでしょうか。
ここでようやくデジカメに手を掛けます。
何処にいるか分かりますか?
2本のシラカバの間に見えるモミの樹上に、不自然な大きさの黒い物体がしがみついているのが分かります。
わかり辛いですね。それでは、ちょっと拡大してみましょう。
お分かり頂けますでしょうか。
明らかに私より大きかったです;;
両手を広げられたら、どんなに大きかったことでしょう。
まぁ何はともあれ無事でよかった。
私1人ならともかく、息子連れだったので緊張しました。
これからは笹も生い茂り始め、視界も狭く見通しも効かなくなるでしょう。
我々が踏み込んでいるフィールドは、明くまでも彼らのフィールドであり、私たち人間はお邪魔していることを忘れてはいけません。
彼らはさまざまな形でサインを出しています。
彼らの出すサインに敏感になって、お互い衝突を避けるようにしなくてはなりませんね。