不思議なアナ

土木現場では、構造物を作るのに基準となる「丁張(ちょうはり)」を作る。
この丁張の材料にするため、杉材で貫(ぬき)、杭には杉のほか唐松や赤松が使われる。
春早々には、この丁張材にヒメスギカミキリやゴマフカミキリが訪れる。

今回の仕事で使った杭は、恐らく唐松材であろうと思うのだが、杭全体が何かに
食害されていて、ボコボコと穴だらけだ。
ちょうどディズニーのアニメに出てくるチーズのような状態である。
私はこういった「穴の連続」が大のニガテである。
ましてや、ことさら丁張材とあっては、カケヤと呼ばれる木槌で力一杯叩くものだから
穴だらけでは到底もたない。
見るのもオゾマシイが、とりあえず何が食い込んでいるのか、穴を丹念に覗き込んでみた。
穴の形状はまん丸で、どうやらカミキリではなさそうだ。
幾つか覗き込んでいる内に、中に何か詰まっている穴が幾つか見つかった。
そのうちの一つは、既に成虫が頭を覗かせている。

よくよく見てみると、それはオオゾウムシであった。
ちょっとうれしかったが、それが幾つも見えている杭を見付けたら、全身に鳥肌がたった
のでその杭を放り投げた。
・・ただでさえ寒いのに。