標高1700mを目指して・・

気が付くと、標高1700m付近にたたずんでいた・・。


しかし、辺りは果てしなく真っ白で、まるで夢の中にでも居るかのようだ。
そうだ、これは夢に違いない。いくらアカガネカミキリが採りたいからといって
ここまで、雨の中登山してきたとあっては、最早救いようがない。
・・どうか夢であってくれ。


そんな願いも虚しく、山の天気は気まぐれで、凄まじい速さでガスを吹き飛ばした。
嫌がおうでも現実を眼前に叩きつけられた。


紛れもなく、ここは標高1700m付近である。


やっぱり自分は、ここまで登山してきてしまったようだ。
・・さて、採集しようか・・。
しかし・・、どこ探せばいいんだ!

ハリブキを求めて彷徨ってみたものの、先ほどまで降りそぼいでいた雨のお陰で、
Gパンが果てしなく重たくなるだけで、一向にハリブキは見付からない。
大して花も咲いていないのに、枯れかけているアザミにマルハナバチと思うハチと
ガガンボが忙しなく飛び交っているだけだ。


やがて、タリムリミットとばかりに、向こうの山からガスが怒涛の如く攻め寄せて
くるのが見えた。

まるで「もののけ姫」でも見ているかような光景だ。山で堰きとめられていたガスが
限界を超えて、一気に流れ落ち始めた。


あっと言う間に辺りはガスに呑み込まれてしまった。山を甘く見てはいけない。
唯でさえ方向音痴の自分にとっては、これ以上の採集は遭難を意味する。(^^;;
アカガネカミキリはもちろん、ハリブキにさえ会うことが許されなかった今回の
採集ではあったが、来シーズンもう一度来て見たい。そんな思いを残すには充分な
よい環境であった。
そそ、次回は是非、卵と芋をホイルに包んで持って来よう・・。
きっとあそこに置いておけば、採集している間に、地熱が美味しく料理してくれる筈である。