オレに言わせろ!その1

世間はXマスだと賑やかだ。
私は純然たる仏教徒たのでなんの関心もない。
当然我が家にはサンタクロースなんて来ない。
子供が可哀想だとか夢がないとか言われるが、それは夢ではなく嘘である。
いつかは子供に嘘をついていたことがばれる。

世の中が一斉に子供を騙す日がXマスなのだ。
子供が小さい時に「サンタクロースってなに?」と聞かれた。
「サンタか?‥う〜ん、あれは妖怪だ。」
そう答えた。事実私はそう思っている。
日本の文化において、彼は紛れもなく妖怪である。
真冬なのに角の落ちない鼻の頭が赤く光るトナカイにソリを引かせて、笑いながら夜空を飛び、子供の居る家には煙突から忍び込み、気付かれないようにプレゼントを置いて、クッキーとミルクを飲んで立ち去る白髭の老人…なんて、誰がなんと言おうと、この日本では妖怪である。
そう話したら、子供は震え上がってサンタクロースを怖がるようになってしまった。
そんな娘も高校生になった。
遠からず、恋人がサンタクロースなんて言い出すんだろうな‥。
そうしたら言ってやろう。
お前の恋人は妖怪か?